【Basic Word for Business】TOC(Theory Of Constraints:制約条件の理論)

トレンドキャステイング 【Basic Word for Business】TOC(Theory Of Constraints:制約条件の理論)

What is TOC(Theory Of Constraints)?

目標を達成するための制約条件(ボトルネック)集中的に管理・全体の生産性を高める手法のこと。全体の処理能力を制約する条件を改善し生産能力の向上を狙う。

兵隊の速度は一番遅い兵士のスピードで決まる

TOCを提唱したのはイスラエルの物理学者エリヤフ・M・ゴールドラット博士。 同氏が1984年に出版した「ザ・ゴール」は世界的なベストセラーにもなった。TOCの根底にある理念は、「制約条件のある工程が存在する限り他の工程をどんなに効率化させても全体の工程の生産性は向上しない。制約条件のある工程を改善しないと組織の目標も達成できない。」という考え方だ。

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ここでいう制約条件とは商品やサービスの質を限定してしまう阻害要因をさす。つまり「足を引っ張る」部分。これをボトルネックとも呼ぶ。

例えば兵隊が行進するとき一番遅い兵士のスピードよりも全体のスピードが速くなることはない。他の兵士がどんなにスピードを上げても一番遅い兵士のところで詰まってしまうからだ。もし全体のスピードを上げたいなら一番遅い兵士(制約条件)が、スピードアップして歩けるように工夫するしかない。

制約と非制約の区別

TOCが他の経営や改善の手法と決定的に異なる点は、正に制約とそれ以外(非制約)の区別であり、「この区別を欠いた如何なる努力も決して実を結ばない」というのが、TOCの最も重要なメッセージです。ゴールドラット博士は、TOCについて次のように述べています。「TOCを一言で言えというなら、それは「フォーカス」だ。 しかし、大事なのは、フォーカスするとは、何をすべきか知るというだけでなく、何をすべきでないかを知るということだ。 なぜなら、すべてにフォーカスすることは、どれにもフォーカスしないことと同じだからだ。

コストワールドとスループットワールド

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直ぐには理解できないかもしれませんが、制約と非制約を区別するということは、輪と輪の相互依存を重視することであり、「鎖の価値を強度で測る」ことです。それに対して、制約と非制約の区別を無視あるいは認めないことは、輪と輪の間の相互依存を無視することであり、「鎖の価値を重量で測る」ことです。システム全体としての改善を考えるとき、この違いは決定的になります。多くの場合、一方で是とすることが他方では否となるのです。その逆も然りです。

重量を鎖の価値と考える世界では、どの輪を重くしても、システムとしてのパフォーマンスが改善します。重量は足し算が成り立つ量ですから、大小はともかく、どこを改善しようが、その分全体に寄与するのです。ですから、部分の生産性を追求することに価値があります。つまり、どの輪も等しく重要で、どれかにフォーカスすることに意味はありません。この世界観を「コストワールド」と呼びます。

それに対して、強度を鎖の価値と考える世界では、そこが一番弱い輪または一番弱い輪の負担を一部肩代わりするのでない限り、そこを改善してもシステム全体のパフォーマンスの向上には寄与しません。つまり、どこにフォーカスして改善するかが重要なのです。そういう世界観を「スループットワールド」と呼びます。

TOCの実施においてのステップ

効果的なTOCアプローチの実施において鍵となるステップは次のとおりである。

  1. 制約を特定する (ボトルネックはそのプロセスの前の製品在庫により識別される)
  2. その制約を徹底活用する (その有用性と効率性を増やす)
  3. ほかの全プロセスをその制約プロセスに従わせる (ほかのプロセスはボトルネックに奉仕する)
  4. 制約を底上げする (もし必要なら、恒久的にボトルネックの許容量を増やす)
  5. すすぎと繰り返し (行動をとると、ボトルネックは移りゆき、さらなる注意が求められる)

リーンマネジメントとTOCの違いは?どちらも生産性の向上を図るもの。

前回紹介した、リーンマネジメントと TOCは何も生産性の効率化を図る手法。どちらも最終成果物を提供する顧客の価値を重視する組織の外部環境の変化への対応力を向上させる。両者の違いはその効果。リーンマネジメントは、無駄を省くことが目的のため製造コストの引き下げにつながることが多い。一方TOCは、全体の処理能力を制約する条件の改善を目的とするため生産能力が向上することが多い。TOCを導入して成功したのがアパレルメーカーのグンゼだ。グンゼといえば靴下屋肌着で有名だがカメラ屋医療用機器に、活用されるタッチパネルを商品化している。タッチパネルの製造工程は複雑なため工程ごとに生産効率を追求しても過剰な仕掛品(製造工程にある製品)の在庫を 解消できなかった。そこで、TOCに基づき、ボトルネックを特定。そこを重点的に管理することで肯定感の処理時間の不均衡を是正した。その結果リードタイムは、約1/5まで短縮。しかも仕掛品の在庫を大幅に削減することにも成功したのだ。

その他の導入事例ではスイスの充電工業メーカーのABBや、航空機メーカーのボーイングなどがある。また国土交通省が公共事業者からの質問に1日以内に回答する取り組みもTOCの一例だ。

まとめ(Theory of Constraint)

 

  • どの生産工程も等しく重要で、個々の改善が必ず全体の改善と等しくなり、どれかにフォーカスすることに意味がい世界観を「コストワールド」と呼ぶ。
  • 部分の改善が必ずしも全体の改善と等しくならず、制約以外では部分の改善が全体の改善に等しくない、この世界観を「スループットワールド」と呼ぶ。
  • TOCでは、スループットワールドを採用し、制約条件(ボトルネック)となっている、工程の処理能力が最大になることのみが、生産性を高めると考える。
  • 制約と非制約を区別するということは何をすべきか知るというだけでなく、何をすべきでないかを知るということだ。すべてにフォーカスすることは、どれにもフォーカスしないことと同じなのである。